アイル

ロスオブメモリー-2(R18)

 先程から顔を上げているのが辛くて本棚に手を付いて頭を下に向けている。
 そのせいで、目を開けると自分の下肢の状態が丸見えでいたたまれない。
(でも……)
 一度この光景を目に入れてしまうと、目を外すことが出来ないのは何故だろう。
 兵長は竿を上下に擦っていた手を亀頭部分に移動させると、先端にかぶっていた皮を下にずらし、手の平で先走りを塗り広げるようにして弄ってきた。
「ぁっ……んっ、うぅぁあっ!!」
 手の平をすぼめるようにして動かされると、下肢から脳天まで快感が一気に突き抜ける。
 余りの気持ち良さに腰が思わずガクリと動いてしまい、先端からビュクリと白濁液混じりの物が出たので一瞬達してしまったかと思ったくらいだ。
「それ、やぁっ……ひぅ!」
 今のは先走りだったようだが、どちらにせよこのままだとオレだけ先に達してしまう。
 慌てて兵長の動きを止めようとするが、足に力が入っていない今、本棚から手を離したら倒れてしまいそうで手で制することも出来ない。
 オレが何も出来ないのを良いことに、兵長はそのまま何度も手の平を滑らせるにようにして動かしてくる。
 それどころか尻の間にいつの間にか取り出したらしい兵長のモノを擦り付けられて、後孔を擦るようにしてゆるゆると動かしてくる始末だ。
「あっ……んっ、はぁ……っ」
 立ち上がった状態なので自分で出した先走りが自然に後ろに流れていくのか、兵長が腰を前後に擦るようにして動かすと、グチャグチャと粘着質な音が下肢から聞こえてきて恥ずかしい。
「んぁっ……ひぅ……」
(も、だめ……)
 このままだと、あと少しで達してしまう。
 口は開きっぱなしで、口の端からはダラリと飲みきれない唾液がこぼれ落ちてシャツの端を濡らしている。
 さっきからずっと前を弄られ、さらに前後に身体を揺すぶられているせいで、ずっと達する一歩手前のふわふわとした状態を彷徨っているような……そんな感じだ。
「ん……はぁっ!」
 唐突に後ろの刺激が無くなったので不思議に思って振り返ろうとすると、双丘をグイと左右に押し広げられ後孔の入口を数回慣らすように撫でられた後、数本の指をヌプリと入れられた。
「……大丈夫そうか?」
「――っ、ぁ……!」
 兵長と付き合いだしてからは、連日のように抱かれているせいで不本意なことに後ろはこういった事態にかなりに順応してきている。
 しかも巨人の再生能力のおかげで、多少手荒なことをされてもたちどころに直ってしまうので余計にだ。
 兵長は後孔の中の状態を確認するように何度か束にした指を抜き挿しし、オレが痛がっていないのを確認すると、グイと片足を持ち上げた。
「ほら……挿れるぞ。」
「へ!?あ……っん、ひゃっ――!?」
 この姿勢だと足元がかなり不安定で、本棚に完全に上半身を預けるような格好にしないと倒れそうだ。そのせいで不本意なことに下半身を突き出すような格好になってしまう。
 しかも片足を上げられているせいで後孔の入口が兵長の眼前にさらけ出され、さっきから兵長の熱い塊がグニグニと後孔の縁に引っかかるように押しつけられている状態だ。
 後孔に亀頭押しつけられると、焦れったくて入口が物欲し気にヒクヒクと無意識に動いてしまう。
 恥ずかしさに顔がカッと赤くなるが、こればかりは自分の意思ではどうにもならない。
(これならいっそ……)
 そのまま突き入れて欲しい。
「――ッ……は、やくっ………んぁああっ―グッ…!」
「もう少し声を抑えろ。」
 オレが口を開いた瞬間にズブリと根本まで一気に挿入されたせいで、大きな喘ぎ声を上げてしまう。
 次の瞬間、兵長に口を覆われたので少し息苦しい。
「……んっ……ふっ……んんっ!」
 中が兵長の大きさに慣れる前に再度入口付近まで引き抜かれ、奥まで再び挿入されるとザワリと内壁が締め上げるように動く。
 おかげで中にある兵長の形をリアルに感じてしまい、自分を余計に追い込んでしまう。
「――ん、グッ!?」
 何度か同じように抜き差しされた後、不意に兵長の動きが止まった。
 これ幸いとずっと高ぶって状態の身体を落ち着けようと息を吐いた次の瞬間、腰をグイと押しつけられて今まで一番深い所まで陰茎を挿入されて目の前に星が散る。
(いきなり……な、に!?)
 余りの深さに何とか身体を前に逃がそうとするが、覆いかぶさるようにして本棚に押し付けられているのでそれも叶わない。
(――て、か、これ……まず……っ)
 前立腺の更に奥の部分を亀頭部分で押しつけるようにされると、身体の奥からゾクリとした感覚が湧き上がってくる。
「……ッ……ぅん、ぁ……」
「……おい。外に人が居る。余り大声で喘ぐな。」
「へ?ん、ふっ……!」
 ――自分のことに精一杯で、全く気が付かなかった。
 慌てて身体を起こそうとすると、後ろに体重が移動し、自分で下肢を押しつけるような格好になる。
 そのせいで、内壁が動いて兵長を更に締め上げて……という悪循環にはまる辺り最悪だ。
(な、にやってんだ……っ、オレ……)
 ぎゅうと唇を噛みしめて何とか声を堪えると、オレの口を塞いでいた兵長の手が傷つけるなと言うように唇をゆるりと撫でてくる。
 大体こんなことになった原因はこの人だというのに、いい気なもんだ。
(ていうか……よくよく考えたら……!)
「この場所……っん、人入って来るんじゃないですか?」
「……さあな。」
「さあなって……っ、ちょっと、動かないでくださ……っん、はぁっ…」
 オレが小声で抗議をしている最中も、何を考えているのか腰をゆるく押し付けてくる始末だ。
(だ……め、だ)
 奥を刺激されると、どうしても声を抑えきることが出来ない。
 外の人にばれていないか心配になって思わず外の様子を伺うと、微かに鼻歌らしき声が聞こえてくる。
 この妙に外れた音程のハイテンションな声音は……
(ま、さか……ハンジ、さん?)
 ……よりによって知り合いとは最悪だ。
「へ、いちょ…………っ…不味いですって……。」
「……とかいう割に、前もダラダラじゃねえか。」
 ヒソヒソと後ろにいる兵長に訴えるが、聞き入れるつもりがまるで無いのかそのままの体勢でグニグニと緩やかに腰を押し付けてくる。
 極め付けに、前に手をまわして白濁液交じりの先走りを垂らしている陰茎の孔にグチリと指を突き立て、腰を半ばまで引くとグッと一気に奥深くまで突き上げてきた。
「……ん……ひ、ぐっんんんん!」
 まさか人がいるところでこんなことをされると思っていなかったので完全な不意打ちだ。
 後ろと前を同時に刺激されて、もう我慢出来ない。
 いきなりの刺激に喘ぎ声を出しかけたところで、流石に兵長も不味いと思ったのか手の平で完全に口を覆われた。
 ――もう頭の中が真っ白で何も考えられない。
「……っぁ……」
 身体が断続的にビクビクと揺れて前から精液が流れ出ているのを感じる。
「ほら。」
「……ん」
 兵長のピタピタと頬を叩かれて沈みそうな意識を何とか浮上させた瞬間に、まだ挿れられたままの兵長のモノが再びズクリと押し付けられる。
「……っ、ん、ちょ……兵長、も、いい加減に……ん」
「テメエだけ先にイっといて良い根性じゃねえか。」
 どうやらオレだけ先に達してしまったらしい。
「……っ、ぁ……だっ、て……外に人がっ、ん……はぁっ」
 オレが文句を言っている最中にも陰茎がグイグイと押し付けられ、思わず喘ぎ声が漏れ出てしまう。
 今は達したばかりで、声を抑えることが全く出来ない。
「気にするな。」
「え、ぁ、……ちょっ、そこ、やぁっ……ん!」
 敏感になっている内壁に無遠慮に陰茎を押し付けられ、身体の奥深くから強い快感がジワリと広がると、内壁がつい先ほどの達する直前の蠕動を思い出したように不規則にギュウギュウと動いて中に居る兵長を包み込む。
「……ッ……んぁ……かはっ」
 内壁がギュウと窄まった瞬間にわざと陰茎を抜き出し、そのまま筒の中を抉るようにして突き入れられると、過ぎた快感に喘ぎ声が断続的に口から漏れ出てしまう。
「っひ、も、やっ、ん、ん……っぁあああッ!」
 腰を後ろに突き出すようにして固定されると何度も狭い筒を抉るようにして陰茎を出し入れし、亀頭を前立腺よりもっと奥にある良いところを撫でるようにして何度も擦り上げられると再び絶頂に押し上げられてしまう。
「……ぅ……っ、ぁ……」
 全身が激しく痙攣し、前からダラリと勢いを無くした精液が零れ落ちるのを感じる。
 立て続けに何度もイかされたせいで、意識はもう完全に混濁している状態だ。
 中にジワリと生暖かい感覚が広がる感覚がして、少しだけ意識を引き戻される。どうやら兵長も中で達したらしい。
 自室ならともかく、こんな場所で何てことしてくれるんだと思うが抗議の声を上げる気力も無い。
(…………疲れた。)
 まだ昼間なのに兵長のせいでしょっちゅうこれだ。
 まあ……求められるのは、正直気分は悪くないのも確かだが。
「おい……起きろ。」
「……ん……ぁ」
 服が乱れたままの状態で床に座りこみ、本棚に寄りかかってくたりとしていると兵長に手を引っ張られて身体を引き起こされた。
 急に身体を動いかしたせいだろうか。後孔からドロリと何かが出て来た感じがして思わず小さく喘ぎ声が零れてしまう。
「ああ……掻き出さないと不味いか。」
「え、あ、兵長……!?ッ……ひぁっ!」
 後ろから何かが流れ出る感覚にギュッと目を瞑って耐えていると、腰をつかまれて兵長と向かい合って抱き付くような格好にさせられる。
 驚いて離れようとするが、背中の方に回された手を下の方にスルスルと下ろされ、様子を伺うように何度か後孔の縁を引っかけるようにして撫でると、次の瞬間ズブリと一気に根本まで差し込まれた。
 先ほどまでもっと体積のある物に刺し貫かれていたので痛みなどは全く無いが、油断していたのでいきなりの衝撃に陰茎に残っていたらしい残滓のような精液がピュクリと少しだけ出てしまう。
「ちょ、へ、いちょッ、……やっ……ぁっ……」
「嫌も何も、このままで戻るわけにいかねえだろうが。少し我慢しろ。」
「ん……く……」
 そんなこと言われても……直後にこんなことをされて耐えられる人間なんているのだろうか。
 せめてもの抵抗と目の前にある兵長の肩口に緩く噛みつくと、頭を撫でられた。
 ……兵長の貴重な優しさにドキリとしたのはここだけのヒミツだ。
 内壁を指の大きさに慣らすようにゆるゆるとした動きで抜き差しをされ、オレが痛がっていないのを確認すると中で指が少し折れ曲げられた。
「…………ぁ」
 中で空間が出来たせいか、奥からダラリと精液が落ちてくる感じがして変な感じだ。
 そのまま掻き出すように指を動かされると、指の腹部分がちょうどポコリと膨らんでいる前立腺に当たって、オレの意志とは反して前が再び兆してきてしまう。
 兵長もオレの様子に気が付いたのか、わざとらしく何度も前立腺の部分を撫でるように動かしてくるのであっという間に前から先走りが流れ出て来る。
「……っく……も、オレ……この後やること色々あるんですっ……よ!」
「心配しなくてももう挿れねえよ。」
 そういう問題ではないと思うのだが、こっちはもう抗議するだけで一杯一杯だ。
 完全に出来上がってしまって、口からはあはあと荒い息が漏れ出る。
 しばらくすると、掻き出すようなゆるやかな動きから最中のように指の根元から先端まで抜き差しをする動きに変化した。
 挿れられている指が擬似的な性器みたいで、自分で弄るのとは全く違う感覚に翻弄される。
 自分の手と同じ物だとは到底思えない。
「……ッ…あっ、はぁっ…!……ん……」。
 はあはあと荒い息を吐きながら兵長の肩に額を擦り付けるようにすると、首筋をガブリを噛まれてビクリと全身を揺らしてしまう。
 その拍子に中の指をギュウと締め付けるようにしてしまい、狭まった内壁を束になった指がこじ開けるようにして奥まで入り込んできた。
 何度も激しく出し入れされると、粘着質な音が下肢から聞こえてくる。
 掻き出された精液がかき混ぜられ泡立っているようだ。まるで耳からも犯されているみたいでいたたまれない。
「も……イ、く…………っ、んあっ…あああぁぁぁ!」
 グチュグチュと何度も激しく指を抜き差しをされ、指の腹で抉るように前立腺を突き上げられるとビクリと内壁が大きく波打つ。
 そのまま押し出されるようにして陰茎から精液が飛び出て自分の腹を汚した。
「……はぁ……はぁ」
 先程から立て続けにイかされたせいでもう限界だ。ビクビクと無意識に身体が痙攣してしまう。
 くたりと兵長に寄りかかると、ハンカチで手早く下肢を拭われて団服を着せられた。
「動けるか。」
「……。」
 そんなことを聞いてくるくらいなら、こんな場所でするなと言いたいところだが今まで散々文句を言っても直らないのでどうせ言っても仕方ないだろう。
 プイと横を向いたら頭を撫でられた。
「……っ。」
 こんなので誤魔化されるものかと思うが、少しだけ気分が浮上するあたり自分も大概甘いと思う。
(そういえば……)
 途中ですっかり失念していたが、外に人がいたのを思い出す。今はもういないようだが、最中はかなり肝を冷やした。
「兵長……外に人が居るのに続けるのは……止めて下さい。」
「……。
 そういう割には、反応良かったじゃねえか。……お前、こういうのが好みなのか?」
「は!?」
 鼻で笑われて思わず顔がカッと熱くなる。
「そ、それは……いや、そうじゃなくてですね!兵長だって見つかったら不味いじゃないですか!」
「その時はその時だな。」
「!?」
 間違いなく不味いだろうと突っ込みたいが、何となく墓穴を掘りそうなので余り強く突っ込めないのが痛いところだ。
 この人は、規律とかそういうのに煩い割に、こういうことにはルーズなところがあって本当に訳が分からない。
「そんなことより……俺はこのまま会議に向かうから、お前は部屋に戻って残りの仕事を片付けていろ。」
「は、はい。」
「あと、俺が言った壁外の資料を持ち帰るのを忘れるなよ。」
「あ。」
 そのあとのゴタゴタでうっかり忘れていたが、そういえばそもそもここにはこの資料を取りに来たのを思い出す。
 慌てて壁に手を付いて立ち上がると、兵長はオレの様子をチラリと確認してスタスタとオレの目の前まで近付いてきた。
「……?」
 いきなりどうしたんだろうか。
 訳が分からず、ポカンとした顔で兵長を眺めていると――グイと首を引き寄せられて唇に軽くキスをされた。
 そして、そのまま何事も無かったかのようにさっさと部屋から出て行ってしまった。
「――ッ!?」
 キスをされた瞬間は驚いて思わず固まってしまったが、部屋の扉がバタンと締まる音に意識を現実に戻される。
「なっ……!」
 一見冷たそうに見えるが、いきなりこういうことをやってくるからあの人は油断ならない。
 顔が今日一番真っ赤に染まっているのが自分でも分かる。
 ……しばらくは、この部屋から外に出ないほうが良さそうだ。

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