アイル

エレンの嫉妬と兵長の躾-1(R18)

 オレが調査兵団に所属することになり旧調査兵団本部にリヴァイ班と共に移動してきてから数週間が経過したが、その間に色々とあってオレと兵長は付き合うことになった。
 オレはこういった経験が初めてどころかそもそも恋愛方向にかなり疎いのもあって始終兵長に振り回されっぱなしだが、それなりに上手くやっている……と、思っている。
 しかし……最近はすれ違いな時間が多くて少しだけ頭が痛い。
(中略)

「お前はとりあえず座っていろ。」
「……は、ぁッ」
 山小屋までの道を歩いたら少し位は先ほどの熱が引くかと思ったが、全くそんな様子が無くて自分でも戸惑う。
 おかげで川から山小屋までの短距離の道を歩いただけでも妙に息切れがするし散々だ。
 兵長に言われた通り、大人しく部屋の隅に置いてあるベッドに向かうと、三台あるうちの一番奥のベッドに座る。
 両手を付いてはあと熱い息を吐くが、やはり身体の熱が全くおさまらない。
 こんなの初めての経験で、少し戸惑う。
 兵長はそんな様子のオレに気付いているのかいないのか、何も言わずにオレから離れると川から汲んで来た水を汲み置きの水を入れておくための水がめに移しはじめた。
 兵長の真意は相変わらず分からないが……何も言えないということは、一応察してくれているのだろうか。
「ほら。」
「ありがとう、ございます。」
 一通りやることを終えたらしい兵長が、オレにズイと水の入ったコップを差し出してドカリの目の前のベッドに座った。
 別に喉は大して乾いていないが、手持ち無沙汰なのを誤魔化そうととりあえず水を飲む。
 互いに基本的にはお喋りな人間ではないので、こうやって二人きりで何もせずにじっとしていると一気に部屋の中が鎮まり返る。
 普段なら特に何とも思わない……というか、むしろ心地良いのだが、先程川で兵長とキスをした件もあって何となく気まずい。
 何か他の事をして場を取り繕おうにも、自室では無いので特に用事も思いつかない。
(はあ……参ったな。)
 ぼんやりと向かいの壁の窓から外を眺めると、いつの間にか日が完全に落ちている。
 オレは時計を持っていないので何時かは分からないが、兵長がベッドの方に来たということはもう寝るつもりなのだろうか。
 それならそれで、早く寝て欲しいよなあと思う。
(そしたらオレも寝られるしな。)
 流石のオレも、上官がまだ起きているのに先に寝るという度胸はない。
(いや、まあ……そういうコトをしちゃった後は、まあ、別だけどな。)
 身体が妙に火照っているせいか、ついつい兵長との時のことを思い出して一人で赤面してしまう。
 恥ずかしくなってさり気なさを装って顔を下に向けると、両手で持っているコップを意味も無く弄ぶ。
 チラリと前髪の隙間から兵長の方を伺うと、特にこちらを気にしている風もなくコップの水を飲んでいた。
 とりあえず一人で赤面するという光景を見られなくてホッとする。
(それにしても……こうやって見ると、兵長って首綺麗だよなあ。)
 普段はスカーフを巻いているのでほとんど首は見えないが、今は外してシャツの第二ボタンまで外しているのでよく見える。
 兵長は普段着でも割とカッチリとした服を着ていることが多いので、寝間着以外でこういうラフな姿を見るのは……考えてみると、かなりレアだ。
 こちらを見ていないのを良いことに、今の内の堪能しようとジッと兵長を見つめる。
(なかなか隙とか見せてくれないからなあ……こんなチャンスは滅多に無い。)
 
 兵長が水を飲む度に上下に喉仏が動くと、思わず目線が釘づけになってしまう。しかも水を飲むために顔を上げているので、首から鎖骨にかけてのラインが綺麗に見えて……相乗効果で妙に色っぽい。
 本人はそんなつもりは全く無いのだろうが、普段のストイックさとのギャップにドキリとしてしまう。
(――ああ、駄目だ。)
 このままずっと見ていたら、完全に目を離せなくなってしまう。
 でも、勿体なくて見続けてしまう。
 さっきからずっと身体の中で燻り続けている熱が、再びざわりと大きくなって理性がジリジリと焼かれていくのを感じる。
 何で……何でこんな一見何てことなさそうなことで、こんなに煽られているのか自分でもよく分からない。
 気分はさしずめ蜜に吸い寄せられる蝶だ。
 ベッドの横に申し訳程度に置かれている質素なサイドテーブルにコップを置くと、フラリと立ち上がる。
 兵長もオレが立ち上がったのに気付いただろうが、余り気に留めていないのか特にこちらを見ることもなく水を飲んでいる。
 あと少し、そのままで居て欲しい。
 ――オレがそっちに行くまでは。
「へ、いちょ……」
 兵長の目の前に立つと、ギシリと床板が軋む。その音につられるようにして声を掛けると、兵長の顔がこちらを見た。
 ――やっとこちらを見てくれた。
 ベッドの上に膝を付いて乗り上げるような格好になると、座っている兵長の首にスルリと手を這わせて喉仏をゆるゆると何度か撫でてそのまま口を近づけて唇を這わせる。
「……何だ。お前から来るとは随分珍しいじゃねえか。ずっと待て状態にしておくとこうなるなら……それはそれで悪くねえな。」
「……ん」
 少し位は驚かれると思ったが、普段と全く変わらない。
 まるでオレがこうやって寄ってくるのを分かっていたみたいな反応だ。
 一体この人はどこまでが計算で、どこからが素なのだろうか。ちっとも分からない。
(まあ……どっちでも良いけどな。)
 今はそんなことどうでもいい。
 それより――
 兵長はオレが首を舐めても犬か何かがじゃれついている程度に考えていないのか、未だに余裕そうな声を出している。しかも、挙句に頭をポンポンと撫でてくる始末だ。
 いくらなんでも、この状況はオレばかりが求めているみたいで面白く無い。
 いい加減、オレの方はたまりにたまった欲求不満が爆発しそうなのに……何とかしてこの余裕な態度を崩したくなる。
「――今日はオレがやりますから、兵長は手を出さないで下さい。」
「ほう……?いきなりどうした。
 まあお前がそうしたいならそうすればいい。俺は特に拘りはねえからな。」
 オレの頭を撫でている手から逃れるようにして顔を上げるとその場の勢いで宣言する。
 兵長はどうでも良いといった感じで片眉をヒョイと上げると軽い調子で了承してくれた。
 大人の余裕なのか何なのか知らないが、やっぱりどう見てもオレばかりが空回っているみたいだ。
「絶対ですからね。」
「分かった。まあせいぜい楽しませてくれよ。」
 そんな余裕な顔をしていられるのも今の内だと、身体の熱が煽られまくって思考力が低下している頭の中でひっそり息巻く。
 よくよく考えてみると、今の状況で兵長に手を出すなということは自分の首を絞めているだけなのだが……理性がほぼ飛んでいる今の状況ではそこまで頭が回らない。
 ブーツを脱いでベッドへ上がると、先にベッドヘッドに凭れかかっていた兵長の首筋に再びかぶりついた。
 自分から積極的にいったことはほとんど無いので、兵長にいつもやられていることを頭の中でなぞりながら真似をする。
 何となく動きがぎこちない気がするが、細かいことは気にしたら負けた。
 首筋を何度か舐めたり噛んだりした後に少し顔を離して見てみると、軽く吸い付いただけなのに肌が白いせいか薄っすらと赤く色付いている。
 いつもはやられてばかりのせいだろうか。逆の立場になると新鮮で興奮する。
 支配欲が満たされていくような……そんな感じだ。この感覚は、そういえば今まで余り感じたことが無い。
「おい。好きにしていいが服で隠れない場所にあまり痕を付けるなよ。」
「ぅ、あ、はい。」
 つい夢中になって何度も兵長の首筋に齧りついていると、兵長に声を掛けられた。
(……って、あれ?)
 思わず反射的に返事をしてしまったが、この人はいつもオレに好き放題痕を付けまくっているのをふと思い出す。
 オレは兵長と違って襟無しのシャツを好んで着ているので、首の目立つ場所に痕を付けられた時にはどうやって隠そうかしょっちゅう困っているのだ。
 何でオレばっかりとつい反論しそうになるが、ここで変なことを言って手を出さない約束を反故にされても困るのでグッと堪える。
(ていうか……兵長、全然余裕そうだよな。)
 これが逆の立場だったら、こうはいかないだろう。
 この差は一体何なのだろうか。悔しい。
 さっきから兵長の気配を伺っても相変わらず息一つ漏らしていないし、どこが気持ち良いのかいまいち分からない。
「……ん」
 少し考えると、首筋から胸元に唇を移動させた。
 試しにペロリと乳首の周辺を舐め上げると、そのままパクリと口に含んでみる。
 自分はこれをやられるとかなり気持ち良いが……兵長は相変わらずの無表情で、いい加減オレもめげそうだ。
 むしろ普段と立場が違うこの状況に酔ってか、自分の方が追い込まれていっている気がして少し焦っている。
 ――恐らく、さっき川岸で煽られた熱がまだ残っているせいだろう。
 兵長の乳首を吸い上げるようにすると、逆に自分の口内が刺激されているような妙な錯覚に陥って一瞬戸惑う。
「ん……は、ぁ……」
 何もされていないはずの自分の下肢が徐々に兆してくるのを感じる。
 全く触られていないのに、恥ずかしい。
 兵長が少し位は感じていてくれているならまだしも、全くそんな様子は見られないので余計にだ。
「おいおい。俺が手を出さねえのは構わないが、自分ばっかり楽しむなんて反則だろ。少しくらいは俺も楽しませろよ。」
「ちょっ!?……や、ぁッ…ぁ、」
 今オレは兵長の胸元に覆いかぶさるような格好をしているので、自身が反応しているのがてっきりバレていないと思っていたが……実はそんなこと無かったらしい。
 いきなり下肢の部分を押し上げるようにして下から膝を押し付けられて、たまらず兵長の胸元から口を外して声を上げてしまう。
 先程まではまるでぬるま湯の中にいるようなふわりとした快感だったが、服の上からとはいえ、直接敏感な箇所を刺激されて一気に熱が高まる。
 このままだと、また自分だけが先にイかされてしまう。
「手、出さな、って!――ッひ、ぁ、ぁ」
 何とか兵長の動きを止めようと声を上げるが、何度も何度も断続的膝を押し上げてくるのでまともに返答することが出来ない。
 ここ数日、中途半端に煽られ続けているせいでいつも以上に我慢が出来ない。
 身体から力が抜けて腰が落ちそうになったので、兵長の身体の脇に両手を付いて何とか堪える。
「手?手は出してねえだろ。足だ。」
「あ、ッ……ん、な屁理屈じゃ、ないですかぁッ……ひぁッ!」
 たしかに足は出すなとは言っていない。言っていないが、そういうことじゃない。
 兵長も分かっていてこういうことをやってくるから余計に性質が悪い。
「……ッああ!」
(も……だ、めだ……!)
 当初の予定とは全然違うが、オレみたいなガキが兵長に対抗しようとしていたのがそもそもの間違いだったのかもしれない。
 陰茎を圧迫するようにして膝を押し付けられると、下着の生地が先端に擦れてズンと腰が重くなる。
 このままだと、服を着たまま粗相をしてしまいそうだ。
 でも、今は自室では無いので下着や洋服の替えも無いのでそんなことをしたら面倒なことになってしまう。
 下着はともかく、団服は怪我をし辛いように厚手の布で出来ているので今の時間から洗って干しても明日までに絶対に乾かない。
 ずっとお預け状態を食らっていたせいだろうが、洋服の上からのこんな些細な刺激だけでこんな風に乱れてしまうなんて少し情けない。
 せめてもの意趣返しに首筋にガブリと噛みつく。
「――ッ!……おいおい、痛えじゃねえか。」
 兵長がようやく小さく声を上げたのに満足すると、そのまま首筋に顔を埋めて動きを止める。
 当初の予定とは大分違うが、もうオレの方が限界だ。
「……何だ、もう諦めるのか?」
「だ、って……ん…はぁ……」
 腰に手をそえられて思わせぶりにスルリと双丘の狭間に向かって撫で下げられると、ぞくりとした感覚が下肢に広がり、ここ数週間ずっと使われていなかった後孔の入口がきゅっと収縮するのを感じる。
 前と後ろを同時に刺激されると、足に力が入らなくなって腰がどんどん下に落ちていってしまう。
(ッ……これ、じゃあ――)
 自分から兵長の足に腰を押し付けているみたいだ。
 留めとばかりにズボンの上から会陰部をグイグイと何度も指で押し付けるようにされると、直接触れられてもいないのに前立腺の周辺がじわじわと熱を持って来る感じがする。
「な、にこれ……ッん!……はぁっ……」
 前立腺を間接的に刺激されているみたいだ。
 まるで連動するように淫筒がグニグニと動いてしまう。
 兵長に挿入されている時みたいな反応に戸惑うが、自分ではどうしようもない。
 苦し紛れにはあはあと息を吐いて快感を逃がそうとするがそんなのでどうにかなるはずもなく、一瞬後には腰が完全に落ちて兵長の足の上に座りこんでしまった。
「や、ぁ……!は、や、く……ほし……ッ!」
 理性が焼き切れているせいで、頭の中で考えていることがどんどん口から零れてしまっているが、そんなことよりも今は早くこの熱く火照った身体をどうにかして欲しい。
 さっき兵長に挿入された時のことをうっかり思い出したせいで、そればかりが頭の中でぐるぐると回る。
 ……早く中に突き入れてくれれば、そうしたらこの身体の疼きもきっとどうにかなるに違いない。
 城に戻ったら兵長はまた忙しくなるかもしれないし、そうなったらこんなことが出来るのも今だけかもしれないから焦る。
 これ以上焦らされるのなんてもう嫌だ。
「へ、ちょ………ッん」
 ゆっくりと顔を上げると、早く、と催促するように両手で兵長の顔を挟んで唇と唇を合わせる。
 薄く開いている唇の隙間から舌を入れ、相手の様子を伺うようにスルリと舌の表面を何度か撫でていると、下肢にそえられていた手がズボンのボタンを外しはじめた。
――やっと、直接触れてもらえる。
「……ふっ……ん、ぐ!んんッ……!」
 誘うように兵長の舌に自分の舌を絡み付けると、ズボンの前をくつろげられて下着の間から差し込まれた手に陰茎を掴まれて外に引っ張り出された。
 ようやく窮屈な空間から解放されてホッとした瞬間――まるでオレの気が緩んだ時を狙ったかのように竿を掴んでいた手を上下に強く動かされる。
 驚いて身体を引こうとするが、空いている方の手で腰を掴まれてそれも叶わない。
 しかも手を動かすのに合わせるように舌をジュルジュルと吸い込まれて、舌と陰茎の刺激がない交ぜになって訳が分からなくなってくる。

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