アイル

始まりは突然に。-4(R18)

 そうこうしている間にも、オレの後孔にそえられた指先が緊張している孔周辺の筋肉を解すように入口付近をグニグニと押してくる。
「う、わっ!?」
「……色気のねえ声だな。」
 そんなことを言われても、いきなり尻の穴を触られて感じる人間なんているのか!?と反論したいが今はそれどころじゃない。
 後孔付近を押されると、下から内臓を押し上げられているような変な感じだ。
「う……」
「動くな。往生際の悪いヤツだな。」
 何となく怖くて身体を逃がすように腰をモゾモゾと移動させると、腰をグイと兵長の方に引き寄せられて更にドロリと冷たい液体を陰嚢から後孔にかけて垂らされる。
「――ッ!な、に!?」
「潤滑液だ。って言っても、ただの油だがな。」
 冷たい感触にビクリと身体が跳ねるが、兵長は特に気にした風も無く先ほどのように後穴周辺を再び弄りだした。
 指の動きが潤滑液のヌメリで滑らかになり、時折入口付近に指先を引っかけるとツプリと少しだけ埋め込むようにされて少し驚くが、潤滑液のおかげか意外に痛くない。
 少し余裕が出て来て閉じていた瞼を薄っすらと開くと、ソファの肘掛けに頭を乗せているので自分の下肢がちょうど良く見える。
 自身の陰茎は案の定いつの間にか力を無くして腹の上にクタリと横たわっていて、そうだよなと思う。
 改めて自分の状況を再確認して許容範囲外の出来事にもはやため息しか出てこない。
(何でこんなことに――)
 思わずハアと溜息を吐くと、ちょうど息を吐いて力が抜けたのを見計らったかのように入口付近を弄っていた指先がズブズブと中に入って来た。
「ッ……んぅ……」
 圧迫感のような妙な違和感が下腹部を襲う。
「痛くは、無さそうだな。
 ……にしても意外に入るもんだな。」
 兵長はオレが痛がっていないのを良いことに、潤滑液を継ぎ足しながら何度かゆっくりと指の出し入れを繰り返している。
 さらに指の違和感を誤魔化すように陰茎を上下に扱くようにされると……だんだんと快感の波の方が大きくなってくるのを感じる。
「ひぐっ……はぁっ……ん」
 下肢からは、先ほどからジュブジュブと粘液質な音が聞こえて来る。
 恐らく後孔には数本の指が入っているはずだが、陰茎をずっと弄られているせいで、違和感が快感とない交ぜになってもう訳が分からない。
 陰茎はいつの間にか痛いくらいに完全に勃起し、先端からは白濁液混じりの先走りが先ほどからダラダラと零れている。
 しかしあと少しというところで陰茎の刺激を止められ、後ろしか弄られないのでイくにイけない。
「たしか……この辺りだったと思うんだが。」
 その間にも兵長は何かを探すように内壁を指先で探るように動かしているが、そんなことよりも早くイかせて欲しい。
 堪らず下肢に片手をのばそうとするが、途中でパシリと払われてそれも上手くいかない。
 まるで蛇の生殺しの状態だ。
 何とか体内で荒れ狂っている快感を逃そうと身体を捩じると、陰茎を触られていないのにゾクリとした鈍い快感のような物が下肢に走り、思わず嬌声が漏れてしまう。
「――んんッ……ふ、ぁ!?」
 驚いて自身の陰茎を見るが、兵長の手は触っていない。
 ということは……今指を突っ込まれている尻で感じたということだろうか。まさか……後ろにそんな場所があるなんて知らなかった。
「ああ、ここか。」
「あ、えっ!?ぅッ……ん……ぁああっ!?」
 オレが事態を飲み込めずに慌てている間にも、兵長は容赦無く指先で後孔を弄って来るせいで甲高い喘ぎ声が止まらない。
「お前も覚えておけ。ここは前立腺って言うんだよ。大体の男はここが良いらしいぞ?
 ……まあ、最初からお前みたいに良いヤツは中々いないらしいが。」
「はぁ……ッ、ん……そこ、や、ぁッ!」
 兵長が色々と言っているのが聞こえるが、まるで頭の中に入って来ない。
 指先を少し折り曲げるようにして後孔の感じる場所に擦り付けるようにして何度も往復されると、陰茎を弄られるのとはまた違うムズムズとした快感が腰の辺りに広がる。
 焦れったい快感のせいか、不規則に内壁が動いてギュウギュウと指を食むように締め付けてしまうが自分の意思ではどうにもならない。
「いやいや言う割には……結構良さそうだがな。」
「んぅ、ッ――……はっ……んんッ、ぁ、ぁあ……ッ、」
 さらに指をもう一本追加されると、今度はズブズブと大きく指をグラインドさせながら前立腺を気まぐれに何本かの指先で押し上げるようにされる。
 その動きが、まるで陰茎を抜き差しされているときの動きみたいでゾクリとする。
 つい先ほどまで自分が挿れられる側になるなんて想像すらしていなかったのに、ここまで来たらもうどうでも良い。
「……そろそろ大丈夫か?」
 念入りに後孔を解されたせいで、今では三本の指がかなりスムーズに指が出入りするまでになっている。
 陰茎は、未だ決定的な刺激を与えられていないせいでずっとダラダラと先走りを零して窮屈そうだ。
「――ッ、ん」
 後孔を弄っていた指をゆっくりと引き抜かれると、兵長が覆いかぶさるように身体の脇に手を付いてきたのでいよいよかと緊張する。
 兵長は何度か自身を擦り上げると潤滑液を垂らしている後孔に先端を押し付け、後孔から会陰部にかけて先走りを塗り付けるように動かす。
 そして緊張して固まっていたエレンの身体から力が抜けた一瞬を見計らうと、後孔に先端をズブリと挿入した。
「んぐ、ッ……!」
 熱い塊が、後孔を割り開くようにしてゆっくりと体内に入ってくる。
 指とは比べ物にならない太さに思わず上体を上に逃がそうとするが、腰を掴まれているのでそれも叶わない。
 ――かなり、キツイ。
「やッ――太っ……ん、はいん、な……ひぁああッ!?」
 もう無理だと泣き言を零しかけたところで、挿入の衝撃に萎えかけていた陰茎の亀頭部分をギュッと手の平で握るように刺激されてビクリと腰が跳ねてしまう。
 後孔へ挿入しているのを誤魔化すように、指を挿入した時と同じように亀頭への刺激を何度か繰り返されると快感に思わず全身から力が抜け、その瞬間にズブリと兵長の陰茎の太い部分が入ってくる感じがする。
「や、ぁ……ッ、ん!――はいって、ッくぁぁああ!」
 圧迫感が物凄い。
 後孔の窄まりが今までで一番拡がり、一番太い箇所を通り過ぎると先ほどまでの抵抗が嘘みたいにズブズブと兵長を飲み込んでいくのが分かる。
 どの位、中に入ったのだろうか。
 体内で自分とは違う脈動がドクドクとしていて……今まで経験したことがない感じに戸惑う。
「――ッ……とりあえず、ここまでか。」
「ぅ、あ……ぜ、んぶ?」
「いや、半分位だな。
 奥の方は指で解せていないから、いきなり全部入れるのは止めておいた方が良い。」
 話しながらゴリと前立腺部分を押し上げるようにされると張りつめている陰茎が、ビクビクと揺れてしまう。
 半分入れられただけなのに、もうこんなに一杯一杯なんて信じられない。
 苦しくて口を開けてハアハアと息を吐くが、体内に熱が溜まる一方だ。
「とりあえず……痛かったら、言えよ。」
「ッ――ぃ、んんっ、ぐ!」
 指よりも太いモノが淫筒を抉るようにグッと内壁に押し付けられる。
 そのままの体勢で陰茎の先端部分でグニグニと前立腺を刺激されると、まるで中から押し出されるかのようにビュクリと少しだけ先走りが出てしまって恥ずかしい。
 しかも、何度も繰り返し陰茎で刺激を加えてくるせいで、少しだけおさまっていた前立腺のムズムズとした感じが再び蘇って来るのを感じる。
 男のくせに後ろで感じているなんて格好悪いと思うのに、どうしても陰茎から先走りが零れてしまうのを止められない。
 グッグッと亀頭で抉るようにゆっくりと動かされると、ジワリと腰の辺りに熱が広がっていく。
 初めての挿入に萎えるかと思いきや、陰茎は未だ固く勃起したままで痛い位だ。
(で、も――……ッ!)
 これだけでは、まだイけない。
 中途半端に煽られて、身体の熱がどんどん上がっていくのを感じる。
 早く、イきたい。
「――んッ……はぁ、……も、やぁ……ッ!」
 一向に腰を大きく動かさない兵長に焦れて、むずがるようにして身体を動かすとクスリと笑われた。
 半ば閉じていた瞼を無理矢理開けて兵長の方を見ると片眉を上げられる。
 ……この感じだと、オレが痺れを切らすのを待っていたのかもしれない。
「もう我慢出来ねえのか。」
「ぁ……ん、ッ!」
 顔に手を添えられてくすぐるようにして頬を撫でられると、オレの返答を聞く前に両膝の後ろに手を入れてそのままグイと胸元まで足を持ち上げられる。
 さらにズルリと中のモノをギリギリ抜き出されると、再びズッと淫筒を抉るようにして突き上げられた。
「ひぐッ……んんッ!……はっ、ん、ん、んッ!」
 兵長が腰を動かす度に、パンパンに張りつめている陰茎の先端が兵長の腹筋に擦れて気持ち良い。
 さっきから中々達することが出来ない自身を慰めようと、自ら積極的に腰を動かして兵長の腹に陰茎を擦り付けるように動かしてしまう。
「おい……一人で随分と楽しそうじゃねえか。」
「――ッ、ひぁッ!?」
 腰を動かして兵長の腹筋の凹凸に先端を擦り付けるようにしていると、流石に兵長も気が付いたのかグニと竿を握られてしまう。
 兵長の腰の動きと同じように上下に皮をスライドされると、先ほどとは比べ物にはならない快感が走ってギュッと内壁を締め付けるように窄めてしまう。
 そこを兵長の陰茎が無理矢理こじ開けるように淫筒の中に押し入ってきて、前立腺を押し上げるように刺激してくると一気に絶頂が近くなる。
 兵長もそれが分かっているのか、腰を打ち付ける間隔が短く早くなってきたようだ。
「……ッ、はぁっ……」
「んっ、ふ…ッ、あ……んんっ!」
 オレは既に口を閉じるのを諦めたせいで、さっきから飲み込みきれない唾液がダラダラと唇の端から零れている。
 兵長も限界が近いのか珍しく息遣いが荒い。
 そうしている原因が自分だと思うと更に興奮する。
「そろそろ、か。」
 兵長は、腰の動きはそのままに陰茎の竿を握っていた手をカリ首の方に移動してきた。
 より敏感な部分へ手を移動されたので、この後の刺激を期待して思わずゴクリと喉を鳴ってしまう。
「――イけ。」
 兵長の言葉を聞くと同時に、ガンと思い切り腰を打ち付けられた。
 今までで一番深く挿入されて痛い位だが、同時に一番敏感な亀頭部分を握るように刺激されているので痛みと快感がごちゃ混ぜになってもう訳が分からない。
 さらに指先で陰茎の裏筋を撫でるのと同時に先端の孔の部分をグニグニと拡げるように刺激されると、もう駄目だ。
「ひ、グッッッ、ん、ぁ、あああ!」
 快感が電気のようにビリと脳天まで駆け抜けて行く。
 次の瞬間目の前が真っ白になり、ドクリと熱を外に解放すると、後孔にもブワリと熱い物が広がるような感覚がした。
 恐らく、兵長も達したのだろう。
 挿入が浅いせいか、ブチュリと液体が爆ぜるような音が下肢から聞こえてくる。
 恥ずかしさを誤魔化すようにギュッと目を瞑った隙に、自身の陰茎の中の残滓を出しきるように竿を上下に擦られて喘ぎ声が漏れてしまう。
「イった、ばかりだから…ッ、も――やぁッ!」
 何とか手を動かすのを止めてもらおうと声を上げて身体を離そうとするが、聞き入れてくれるどころかさらについでとばかりに中に出された精液を内壁に塗り付けるように前立腺をゴリゴリと亀頭で撫で上げられて、再び腰の辺りに熱が広がっていくのを感じる。
 もう、何も考えられない。
 身体を弓なりに反らせるようにすると、ビクビクと陰茎が震えて再び精液が漏れてしまった。


「……ッ、ん……はぁ、っ……」
 こんな風にして立て続けにイってしまうのは初めてだ。
 解放した後は余りの快感のせいか耳がキンとなって頭がぼんやりとしているが、段々と理性が戻ってくるのが分かる。
 ――まさか男同士でもこんなに良いと思わなかった。
 最初は自分の方が下なんて有り得ないと思っていたが、ちょっと癖になりそうで怖い。
「う、ぐ……ッ、……ん?」
 はあはあと荒い息を吐いて、火照った身体を落ち着けていると、抱え上げられていた足をゆっくりと下ろされ、後孔からズルリと兵長の陰茎が抜かれていくような感じがする。
 興味本位でチラリと下肢の方に目を向けると、精液を纏わり付かせた兵長のモノが偶然目に入って思わずゴクリと唾を飲み込んでしまう。
 兵長の物はまだ物足りないのか少し芯を持ったような状態だが、それでも十分に大きい。
 しかも色が浅黒くて自分のモノとは全く別物みたいだ。
 全ては中に入らなかったらしいが、それでもこんなものが自分の中に入っていたなんて少し想像出来ない。
 陰茎の一番太い部分が抜け落ちると、栓を失ったせいでドロリと中から何かが零れ落ちてくる感触がして気持ち悪い。
 心当たりがある物といえば……間違いなく先ほど中に出された精液だろう。 
 兵長はまだ自分の下肢に陣取ったままだし、目の前でその様子を見られるのは流石に漏らしているみたいで気まずい。
 とりあえず身を起こしてさり気なく下半身を隠そうとすると、足首を掴まれて兵長の方に引き寄せられて膝の上に腰を乗せられた。
「……なかなか良い光景じゃねえか。」
「え、あ、ちょっ――ふぁッ!?」
 さっきの胸元まで足を抱え上げられるのもひどい格好だったが、この格好も負けず劣らずだ。
 いや……兵長の膝が自分の腰の下に差し込まれている分兵長の顔と自分の陰部の位置が近いのでもっとひどいかもしれない。
 今は理性も取り戻しているし、はっきり言っていたたまれないことこの上ない。
「ちょ、離してくださ――ッ!?」
「おい、暴れんじゃねえ。中の掻き出さねえと不味いんだよ。」
「……ぅ、え?」
 慌てて兵長の膝の上から退こうとすると、意外に冷静そうな声で兵長に声を掛けられて思わずピタリと動きを止めてしまう。
 また妙なことをされるのかと構えたのだが……違うのだろうか。
「だから……俺が今お前の腹の中に出した精液を外に掻き出さないと、後で腹壊すんだよ。お前が自分で掻き出せるっていうならそのままでも構わねえが。」
「じ、自分で――!……できません。…………おねがい…します。」
 一瞬自分で出来ると言いかけたところで、兵長の目が細められたのを目の前で目撃してしまったので慌てて言い換える。
 放っておけば流れ出るだろうと思っていたのだが、あの兵長の顔付きから察するに……それだけでは済まないだろうなと第六感で感じたのだ。
(絶対、目の前でやれとか言い出しそうな顔してたよな……)
 せめてもの抵抗と目元を腕で隠すと、再び後孔にズブリと指を数本挿入された。
 その後は……結局、中の物を掻き出されている最中にもう一度達してしまったのは言うまでもない。
 数時間の間に、こうも立て続けにイかされるとは思わなかった。おかげで身体を解放された頃にはヘトヘトだ。
 そして流石にあんなことをやってしまった後に素面の状態で兵長と長々話せるはずもなく……
 兵長が手を洗うためにソファから離れた隙に、足元で丸まった状態で放置されていたズボンと下着を急いで履きなおすと、挨拶もそこそこに兵長の部屋を辞してしまった。

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