アイル

十五才兵長-2(R18)

(中略)
「おいエレン。お前、今日一日俺のこと避けてただろ。」
「そ、そ、そ、そんなこと、無いですよ!さっき食堂に行ったらサシャに夕飯の用意手伝えって言われて……それでそのまま夕食の時間になってしまってですねっ!?」
「あ?お前そもそも今日は当番じゃねぇだろうが。」
「だっ、だから頼まれたんですって!」
 日も完全に落ちてそろそろ夕食の時間帯という時のことだ。
 リヴァイは食堂で食事の用意を手伝っていたエレンの前に立ち塞がり、彼の今日一日の行動について問い詰めていた。
 何故こんなことになっているのかと言うと、エレンは結局あの後一度だけリヴァイの部屋へ水差しを置きに戻っただけで、リヴァイが話しかける前に再び逃げるようにして部屋から逃げてしまったからだ。
 おかげでリヴァイは自分とエレンの関係について問い詰めることが出来ずに数時間も悶々として自室で過ごすハメになり、結果痺れを切らして今の状況につながる。
 ちなみに食堂に居た他の面子――ジャン、コニー、クリスタ、そしてサシャだ――はというと、ハラハラとした様子で遠巻きにその様子を眺めているだけだ。
 残念ながら、この中にエレンを庇うために面倒事に率先して顔を突っ込もうとする物好きはこの中にはいない。しかし怒っている相手はあのリヴァイなのでそれも仕方のないことだろう。
(な、なんでこんなことにっ……!)
 リヴァイへの好意がバレないようにとたかが一日逃げ回ったくらいで、まさかこんなハメに陥るとは思わなかったので、エレンは内心非常に焦っていた。
 大体、リヴァイは自分が世話係として付くのを嫌がっていたはずだ。だから多少露骨とはいえちょっとくらい避けても問題無いだろうと思っていたのに。
 それなのに何故この人はこんなに怒っているのかさっぱり分からない。
「え?エレンなに言ってるんですか?夕食の手伝いするって言いだしたのはエレンからじゃないですか。」
「あ、ちょっ……サシャお前!」
「……なるほどな?」
 そして極めつけにサシャのこの発言だ。
 苦し紛れにリヴァイに言った先ほどの言い訳も、これで全て水の泡になってしまった。
 エレンは空気読めよ!と必死な形相でサシャの方を見るが、サシャはサシャでそんなエレンをポカンとした顔で見ているだけでいまいち意味が分かっていないのだろう。
 ――そういえば、彼女は良くも悪くも馬鹿正直だった。
 こんなことなら事前に口裏を合わせるように頼んでおくべきだったと思うが時は既に遅しだ。
「……まあいい。後で聞きたいことがあるからな。たくさん。」
「えっ、あ……はい。」
 たくさんって……リヴァイと顔を合わせていなかったほんの数時間に一体何があったのかこちらが色々と聞きたいくらいなのだが、周りに他人の目が有る手前そんなことを言い出す勇気は残念ながら自分には無い。
 エレンはとりあえず大人しくコクリと頷くと、ひとまずリヴァイが身を引いてくれて開放された。


「お前、俺と付き合ってただろ。」
「は、えっ!?」
 夕食の片付けを終えて部屋へ戻り、寝る準備をしていたときのことだ。
 昨晩と同じく一足先に寝る準備を終えてベッドに寝転がっていたリヴァイは、エレンが床の寝床を作り終えたところでムクリと起き上がるといきなりとんでもないことを言い出した。
(つっ、付き合ってたって!?)
 余りに予想外すぎる発言に物凄い勢いでベッドの上にいるリヴァイの顔を見上げると、ひょいと片眉を上げられる。
 リヴァイの言う『付き合う』とは、どう考えても店に付き合うとかそういう意味では無いだろう。
 ということはつまり……恋愛とかそういう意味だ。
「へっ!?あ、え、ええっ!?」
 脳内での処理が追いつかず、反射的に顔が真っ赤になってしまった後にしまったと思うがもう遅い。
 夕食前に後で聞きたいことがあると言われて、それはもうどんなお小言を言われるのだろうとビクビクしながら部屋に帰って来たものの、それからずっと何も言われなかったので今日は無罪放免かなと思っていたところだったので今のは完全な不意打ちだったのだ。
「い、いやいや!いきなり何言い出すんですかっ!寝る前にいきなり止めてくださいよ。」
 いきなり心臓に悪いったらない。まるで世間話でもしているような調子でとんでもないこと言い出すのは昔かららしい。
 バクバクいっている心臓を落ち着けようと、リヴァイに気付かれないように小さく深呼吸をする。
 リヴァイと付き合っていたのは事実だし、別に本人相手に変に隠すことは無いのかもしれない。しかし今目の前に人物は自分の知っている『リヴァイ兵長』とは別なのも確かで、むやみやたらにベラベラと話すようなことでも無いだろう。
 それにそもそも男同士で付き合っているなんて、公にするような話しでは無いのだ。
「へぇ……?違うのか。」
「ちょっ……ち、近いですから!」
 何を考えているのか分からないが、リヴァイはベッドに腰掛けると前にかがむような格好になってエレンの方へ顔を近づけてくる。
 午前中にも言った通り、最近はこういった接近が少なかったのでちょっとしたことでも大げさに反応してしまうので勘弁して欲しいのだが、こちらが身体を引いた分だけ近付いてくるので距離が離れる様子は一向に無い。
 というか、こちらが大げさに反応するのを面白がっているような節があるので手に負えない。
「違うなら押しのけるくらいしろよ。」
「そ、んなこと言ったって……!」
 一応外見は自分の知るリヴァイとそう変わらないので、こんな思わせぶりに近寄られたらドキドキしてしまうに決まっている。
 押しのけるのが普通の反応なんてことは言われるまでもなく分かっているが、つい雰囲気に流されてますます顔が赤くなってしまう。
 ――もう駄目だ。
 ただでさえリヴァイは勘が異常に良いのに、こんな反応をしてしまったら自分たちが付き合っていた件は絶対にバレてしまうに違いない。
 しかもリヴァイは駄目押しとばかりにいきなり顔のラインを指先でするりと撫でてきて……不味いと思ったときには、反射的に喉を鳴らしてしまった後だった。
「ん、ぅっ……」
「――!」
(俺は……、今何をしようとしていた?)
 リヴァイは無意識にエレンの顔を撫でた自身の行動と、エレンの甘えるような声にドキリとして動きを一瞬止めた。
 エレンが声を上げたおかげで意識を引き戻されたが、いつの間に自分はエレンに乗り上げるような格好になって、彼の頬を撫でているのだろうか。
 エレンをからかってやろうとわざと追い詰めるように顔を近づけたところまでは覚えているが、それ以降の行動は全て無意識下の行動だったので全く意味が分からない。
「……ッ、」
 急激に意識が浮上したせいだろうか。頭の奥深くにズキリと鈍い痛みが走って思わず額に手をそえる。
「へい、ちょう?」
 自分は『リヴァイ』であって『兵長』では無い。
 『兵長』と呼ばれるとまるで自分の存在を否定されているような気がしたので早々にその呼び方は止めさせたのに。
 しかしその名称で呼ばれる度に、頭の奥深くにずっと立ち込めていた濃い霧が少しずつ薄くなっていく感じがするのは何故だろう。
「兵長?どうしたんですか?頭が痛いんですか?」
 心配するような声に目を開くと、エレンの顔が思いの外近くにあって少し驚く。
 ほんの少し前に迫っていたときには面白いくらい顔を赤くしていたくせに、今はそうするのが当然というように自分から顔を寄せて来ているのはお人好しなのか、あるいは単なる馬鹿なのか。
 でもそういうところも可愛げがあると思っていたのを唐突に思い出す。
(そうか……俺は――)
 今まで何故こんなことを忘れていたのだろうか。
 自分は兵士長として調査兵団に所属していて、そして今は目の前にいるエレンの面倒を見ていたのだ。
(そしてこいつは……俺の恋人だ。)
 全て、思い出した。
 何故こんなに重要なことを忘れていたのかと不思議なくらい、今では頭の中が鮮明ではっきりとしている。
「……――そうか。」
 そうだった。
 こうやって全て思い出してみると、あのクソメガネのおかげで小さくなったり記憶がとんだりでとんだ酷い目にあったものだ。
 しかし幸か不幸かそのおかげでエレンは自分の部屋に寝泊まりをすることになったのも確かなので、ひとまず今回は明日の朝に文句を言うだけに留めてやろうと思い直す。
 こんなことでも無ければエレンはずっと大部屋の方に寝泊まりしていて、こんなおあつらえ向きな状態にはまずならなかっただろう。
 我ながら現金な人間だと思わなくも無いが、人間なんてこんな物だろうと開き直る。
 リヴァイはニヤリと口元を歪めると、ゆっくりと下を向いていた顔を上げた。
 今は、絶好のチャンスだ。
「えーっと……兵長?」
 リヴァイは普段から自分の怪我や病気の類ことは基本的に口にしない。
 そんなリヴァイが珍しく額に手をそえて痛がるような素振りを見せたのでエレンは心配したのだが、ゆっくりと顔を上げたリヴァイは痛そうな顔をしているどころか何故かニヤリと笑っていた。
 今までの経験からすると、大体こういう顔のリヴァイはロクなことを考えていない。
(い、いや……でも兵長は今十五才だしな。)
 先ほどまでの会話内容から察するに、自分達が付き合っていた件はどうやらバレたと考えて間違い無いだろう。そして恐らくそれを確認するためにいきなり顔を近づけてからかうようなことをしてきたに違いない。
 しかしそんな風に確認するようなことをしてきたということは、裏を返せば実際のところは確証がある訳ではないのではないかとも思うのだ。
 だからここで過剰に反応して、実は身体を繋げるほどの深い関係だということまでバレてしまうような危険を冒すより、さらっと流す方が良いだろうと考える。
「あっ、あの……大丈夫ですか?頭痛そうでしたけど。」
「……ああ、大丈夫だ。」
 エレンはさり気なくリヴァイから身体を離すと背後に手を付いて身体を支える。今度は追ってこないところをみると、からかうのは止めにしてくれたのだろう。
 相変わらず腰の上に跨がれている格好なので危ういことには変わりないが、顔の位置が離れるだけ心理的には若干の余裕が生まれる。
「もう遅いし……そろそろ寝るか。」
「へ?あ、はい。」
 先ほどまでの押せ押せの雰囲気はどこへやら。
 普段のリヴァイならエレンの都合なんてお構い無しにここでもう一押しくらいしてくるのだが、思ったよりも呆気なく身体を離されて少し拍子抜けだ。
 どうやらこの感じだとリヴァイと自分が実は身体を繋げる関係であるということはバレなかったらしいとホッとする。
 しかしそれと同時に自分の知るリヴァイとは違うのだと再認識させられて、ほんの少しだけ寂しくて物足りなくて。
 エレンはそんな気持ちを誤魔化すように目をつぶると、その気持ちをそっと心の奥にしまいこんだ。
 それからすぐにリヴァイはエレンの上から退いて自分のベッドへ戻って行ってしまった。
 チラリとリヴァイの方を見ると手元にリュックを引き寄せていて、恐らく荷物を整理しているか探し物でもしているのだろう。
 わざわざこんな時間にと思わなくもないが、変に話しかけられて墓穴を掘るよりは断然マシだ。
(……今日は、何だか疲れた。)
 一日オフだったはずなのに。これが気疲れとかいうやつだろうかと考えながらゴロリと床に敷いた布の上に転がると、エレンの意識はあっという間にぼんやりとしてきていつの間にか眠りについてしまった。


「――さて。」
 リヴァイは膝に乗せていたリュックの中から潤滑液の入った小ビンを取り出すと、再びベッドから降りて床にいるエレンの方へ歩いていった。
 身体を離したほんの少しの間に寝てしまったらしいので、横に膝を付いて顎の辺りをくすぐるようにしてやるが、スースーという寝息の音は途切れず起きそうな気配はまるで無い。
「……のん気な奴だな。」
 ほんの少し前に目の前にいる人間にからかい半分とはいえ迫られていたのに、『寝るか』という台詞を真に受けて寝てしまっている辺り警戒心が無さ過ぎだろうと本気で思う。
 エレンはリヴァイの記憶が戻ったことをまだ知らない。
 従ってエレンにとって十五のリヴァイはほんの一日前に出会った存在に過ぎないはずなのに、早速この有様とはと呆れるばかりだ。
(まあ確かに……見た目は三十代のときとそんなに変わらねぇからな。)
 だからエレンの気を許してしまうという気持ちも分からなくもないし、それはそれで恋人として気を許されているみたいで気分が悪い物ではない。
 しかし、ここまで無防備に寝こけられると逆に全く意識されていないみたいな気がするのも確かだ。
 それが少しばかり面白く無くて、エレンが身体にかけていた布団代わりの布きれをまくり上げると再びエレンの上に覆いかぶさるような格好になる。
 いささか大人気ない気がしなくもないが、警戒心も無く寝くさっているエレンへのほんの意趣返しみたいなものだ。
 エレンが寝間着代わりに着ているシャツを胸元までゆっくりと引き上げると、胸元が露わになる。
 ちょうど真横にあるベッドが蝋燭の光を遮っているのではっきりとは見えないが、そこは薄いピンク色で先端はまだ肉の中に埋まったままの状態だ。
 指先を添えて何度か押し潰すように優しく刺激を与えてやると、プクリと先端が勃ち上がってきてほんのりと濃い色に染まって来るのが分かる。
「はっ、ん……ぅ、あ」
 勃ち上がった先端を指先で摘んで引っ張るようにしてやると快感がソコから走るのかはっきりとした喘ぎ声混じりの吐息をエレンが漏らして、不意打ちの嬌声にゾクリとした快感が背中に走る。
 正直……悪くない。
 エレンは自分の喘ぎ声が好きでは無いようで、まだ理性の残っている前戯の状態だと極力声を殺す癖が付いているのだ。だからこうやって無防備に与えられる快感に素直に応じている光景は結構珍しい。
 それならともう片方の胸に唇を寄せて舌で数回舐め上げた後に強い力で吸い上げ、さらに勃ち上がった先端を舌先でグニグニとこねてやると面白いくらいにエレンの身体が跳ねる。
「ひっ、ぁ、ああっ……ん、あ……ぅ」
 かなり気持ち良いのか、エレンが身体を動かす度にゆるく兆してきている陰茎が下腹部に当たっているのが分かる。
 無論胸なんて元々そんなに感じる場所ではないのでここまで感じるようになるにはそれなりの期間を要したし、途中で胸がベルトで擦れるから嫌だと散々逃げ回られたりもしたが、ここまで感じるようになるとはこちらも苦労して開発したかいがあったというものだろう。
 わざと身体をゆるくうごかして腹で陰茎の先端を嬲るようにしてやると、腹筋の凹凸と下着の布に刺激されるのか逃げるようにして身を捩って嫌だと首をゆるゆると左右に振っている。
「いい加減目ぇ覚ませよ。このまま……最後までヤっちまうぞ。」
 陰茎を弄られたら流石に目を覚ますだろうと当初は思っていたが、わざわざご丁寧に耳元で忠告してやっても今のところ目を覚ましそうな気配は無い。
 エレンのことだ。リヴァイはまだ記憶が戻っていないから夢でも見ているとでも思い込んでいるのだろう。
(起こしてやっても構わねぇが――)
 しかしこのままどこまで許すのかという興味もあるし、エレンにしては珍しく素直な反応をしているのが新鮮で楽しい。
 さすがに寝ている相手に最後までやるつもりは無かったが予定変更だ。
 ここまでやっても起きないのが悪いのだとリヴァイは自分勝手な理由を付けると、中途半端にエレンの足に絡まっていたズボンを引き抜いた。
「はっ……、ぅ……」
(きもち、い……)
 少し前までは胸を弄りまわされていて、今は陰茎を焦らすようにして弄られている――という夢をエレンは見ている。
 勿論相手は自分の恋人である三十代の方のリヴァイだ。
 こんなにリアルな夢を見るなんて、思っていたよりもたまっていたのだろうか。
 元々こういった方面のことには疎いせいか淡白な方だったのでオナニーはあまりしない。それに、最近だと自分の手だけでは物足りなくて中途半端に煽るだけに終わってしまうので、ますますそういうことはしないようになっていたのだ。
(で、も……っ)
 このままでいたら明日の朝には下着の中がとんでもないことになっているのは間違い無いだろう。こんなタイミングでこんな夢を見てしまうくらいなら、間でちょっと抜いておけば良かったかもしれないと思うが今更だ。
 しかしあまりにも気持ち良くて、このまま目を覚ましてなんとかこの夢を霧散させようなんて気分には到底なれない。
 明日の朝は少し早く起きてリヴァイにバレないように下着を洗わないと恥ずかしいことになるな、なんて夢見心地なフワフワとした気分でこの夢を継続させるための算段を立てる。
「んっ……ぁ、ぅ……ん、んんっ!」
 しかし色々と考えられたのもここまでだ。
 中途半端に足にまとわりついていたズボンと下着を引き抜かれて陰茎に直接触れられたら全てがどうでも良くなってしまう。
 自分のモノとは別の熱い塊が押し付けられてリヴァイの手によってまとめてしごき上げられると、甘い痺れがそこから広がり手が動く度に口から嬌声が零れ落ちる。
 直接見ている訳では無いのではっきりとは分からないが、この熱い塊は恐らくリヴァイの陰茎だろう。
 リヴァイの陰茎のカリの張っているところが裏筋の気持ち良いところにちょうど当たっていて、竿を擦り上げられる度にそことこすれ合って腰が震えるくらいに気持ち良い。
(ッ……ま、ずい)
 このままだと、あっという間に自分だけ先にイってしまう。
 夢の中での出来事だし、このまますぐに達してしまっても構わないとも思うが、なけなしのプライドがそれを阻んで反射的にリヴァイの手から逃げを打つように身体を捩じる。
「――っと……逃げるなよ。」
 しかしそんなことをしてもエレンはリヴァイに陰茎を掴まれているので、実際のところはほんの少し上体をひねる程度の些細な抵抗にしかならない。
 すぐに動くなというように腰をさらに密着させられると、敏感な亀頭を手の平で包まれて攻め立てられて。さらに耳元で普段よりも低く掠れた声で不意打ちに囁かれて追い打ちをかけられる始末だ。
 たまらず反射的に首を竦めるようにすると、耳でも感じているのがバレたのか耳たぶに唇を寄せると甘噛みされ、唾液のピチャリという濡れた音に脳味噌をグラグラと揺さぶられる。
 こんなに立て続けに快感を与えられたら、自分だけ先にイくなんて、というなけなしのプライドなんて呆気なく打ち崩されてしまうのは仕方が無いことだろう。
「も……イっちゃ……――っ、ん!」
 腹の奥深くから熱の奔流が湧き上がってくる感覚に足の爪先が無意識にギュッと丸まって全身が硬直する。
 久しぶりの感覚に頭が沸騰しているようになって何も考えられない。
「――早すぎだろ。もう少し、我慢しろよ。」
「な、っ?イ、きたいからっ……それ、や、あああっ!」
 全身がブルリと震えて今にも陰茎から熱い液体が溢れ出そうになったときのことだ。
 陰茎の根元にリヴァイの指が巻き付いてきて、溢れ出ようとしていた精液を無理矢理塞き止められたので逃げ場を失った熱が体内で荒れ狂う。
 ――あと少しでイけそうだったのに。
 現実はと言えば、先端の孔から精液の滴がプクリと顔を出して竿をゆっくりと伝っていくだけだ。
 恐らく塞き止められている管の隙間から少しだけ滲み出たのだろう。
 先ほどまでの快楽がウソみたいに一瞬にして全てが苦痛にすり替わって、この状況に対応しきれずに自分からイきたいなんて普段なら絶対に言わないような台詞まで口走ってしまうが、それを恥ずかしいと思うだけの余裕も皆無だ。
「へえ?お前にしちゃ、珍しく積極的じゃねぇか。それに免じてイかせてやっても良いが。だが、まあ後ろの方は久しぶりだからな。前と後ろ一緒にほぐした方が良いだろ。……ってわけだからもう少し我慢しろ。」
「はっ、ぅ……ねが、だから……っ!」
 せめてもの抵抗と陰茎の根元で輪っかを作っているリヴァイの指を外そうとするが、力が入らなくて皮膚を爪で掻くことしか出来ない。
 そしてそんな程度の抵抗でリヴァイがひるむはずもなく……いや、その目は楽しい玩具でも見つけた時のように細められていてむしろ面白がっているだろうか。
 リヴァイはエレンが身体の中で荒れ狂っている快楽を持て余して力が入らないのをこれ幸いと、両足を大きく開いて両肩に乗せるというとんでもない格好を取らせると、エレンの両足の間に潤滑液で濡れた手をゆっくりと差し込んだ。

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